体重減少、
食べているのに体重が減る

体重減少、
食べているのに体重が減るとは

食事をしっかり摂っているのに体重が減少してしまう現象は、多くの方が経験することがあります。単なるダイエットや食事制限とは異なり、摂取カロリーが十分であるにもかかわらず体重が減少する場合、体内の代謝異常や病気が隠れている可能性があります。特に、急激な体重減少が見られる場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。

よくある症状

食べているのに体重が減る場合、以下のような症状が伴うことがあります。

全身の倦怠感

エネルギー不足による疲労感や無気力感が生じます。

筋力低下

筋肉量が減少し、運動能力が低下します。

食欲の変化

食欲はあるが満腹感が得られにくい場合や、食事量が減少することもあります。

消化器症状

腹痛、下痢、便秘、胃もたれなどがみられることがあります。

発熱や寝汗

感染症や内分泌異常が原因となる場合に見られます。

不安やうつ症状

ストレスや精神的な要因で体重が減ることもあります。

考えられる原因

体重が減少する原因には、さまざまな病気や生活習慣が関係しています。

消化器系の疾患

慢性胃炎・胃潰瘍

これらの疾患は食べ物の消化不良や栄養吸収障害を引き起こし、体重減少の原因になります。胃酸を抑える薬や食事療法が効果的です。

炎症性腸疾患
(クローン病・潰瘍性大腸炎)

腸の炎症が栄養吸収を妨げ、体重減少を引き起こします。免疫抑制剤や抗炎症薬が治療に用いられます。

膵炎

膵臓の炎症により消化酵素の分泌が不足し、栄養がうまく吸収されません。膵酵素補充療法や食事指導が行われます。

食道炎・食道がん

食道炎や食道がんにより、食事が摂りにくくなることがあり、体重減少を引き起こします。外科的治療や放射線治療が必要となる場合があります。

食道がん

内分泌・代謝異常

甲状腺機能亢進症
(バセドウ病)

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、代謝が過剰になり体重が減少します。抗甲状腺薬や放射線治療で調整が必要です。

糖尿病

糖尿病では血糖コントロールがうまくいかないと、体重減少が起こることがあります。インスリン療法や食事管理で改善できます。

副腎機能低下症(アジソン病)

副腎ホルモンが不足すると、体重が減少することがあります。ホルモン補充療法が治療の中心です。

感染症・悪性腫瘍

結核・HIV

これらの感染症では、体重減少が一般的な症状です。抗生物質や抗ウイルス薬で治療が行われますが、体重回復には時間がかかることもあります。

がん

がんによる体重減少は、腫瘍がエネルギーを消費するために起こります。治療としては手術、化学療法、放射線療法があり、適切な栄養管理が重要です。

精神的な要因・生活習慣

ストレス・うつ病

精神的な問題が食欲を低下させ、体重減少を引き起こします。心理的サポートや薬物療法が効果的です。

過剰な運動

過度な運動がエネルギー消費を過剰にし、食事で摂取したカロリーを補えなくなることがあります。休息とバランスの取れた食事が回復を促進します。

検査

以下のような検査を行うことで原因を特定します。

血液検査

貧血や炎症、栄養状態、肝臓・腎臓・すい臓などの臓器機能を調べ、体重減少の背景にある全身的な異常の有無を確認します。

尿検査

糖尿病や腎機能異常の有無を調べることで、代謝異常や栄養の排出が原因の体重減少を見つける手がかりとなります。

腹部超音波検査

肝臓・胆のう・すい臓などの腹部臓器に腫瘍や慢性疾患がないかを確認します。非侵襲的に内臓の変化を調べられる有用な検査です。

胃カメラ検査

胃がんや胃潰瘍、慢性胃炎など、食べても栄養が吸収されにくい病気の有無を直接観察します。消化器疾患の精密検査として重要です。

胃カメラ検査

CT・MRI検査

腹部や全身の臓器に腫瘍や炎症、臓器萎縮などがないかを詳しく確認します。体重減少の原因を広範囲に探る高度画像検査です。

ホルモン検査

甲状腺や副腎などのホルモン異常を調べます。特に甲状腺機能亢進症など、代謝が過剰になることで体重が減る病気の発見に有効です。

治療

治療方法は原因によって異なりますが、主に以下のアプローチが取られます。

病気が原因の場合

体重減少が病気による場合、まずは原因となる疾患の適切な治療が必要です。消化器系疾患(胃炎、潰瘍、炎症性腸疾患など)や内分泌異常(甲状腺機能亢進症、糖尿病など)が原因であれば、医師による診断と治療が行われます。治療方法には、薬物療法や手術、ホルモン補充療法などがあります。がんや感染症が原因の場合は、早期発見と治療が重要で、化学療法や抗ウイルス薬、放射線治療が行われることがあります。適切な治療を行うことで、体重減少を防ぎ、健康を回復させることができます。

生活習慣の改善

生活習慣が原因の場合、食生活の見直しが重要です。栄養価の高い食事を摂取し、特に高カロリーで消化に良い食品を積極的に摂ることが勧められます。また、消化不良やストレスが原因で体重減少が進行することもあるため、食事はゆっくり噛んで食べ、ストレスを減らし、十分な休息を取ることで、体調が改善し、体重が回復することが期待できます。定期的に体重をチェックし、早期に対策を講じることが重要です。

よくある質問

どのくらいの体重減少が危険ですか?

3~6か月の間に体重の5%以上が減少した場合、医療機関を受診することをおすすめします。

体重減少はストレスだけで起こることがありますか?

はい。強いストレスが続くと交感神経が活発になり、食欲が低下し、体重が減ることがあります。

体重が減っているのに元気な場合でも病院に行くべきですか?

健康状態に問題がない場合もありますが、急激な体重減少は病気のサインである可能性があるため、検査を受けることをおすすめします。

食事の回数を増やしても体重が増えません。どうすればよいですか?

栄養バランスを考えた高カロリー・高タンパクな食事を意識し、消化器系に問題がないか医療機関で相談しましょう。