大腸憩室

大腸憩室とは?

大腸憩室とは、大腸の壁の一部が外側に袋状に膨らんだ状態を指します。これは、腸の内圧が上昇することで腸壁が弱い部分から外側に押し出されることで発生します。

大腸憩室は加齢とともに発生しやすくなり、特に欧米人では左側(S状結腸)、日本人では右側(上行結腸)にできやすいという特徴があります。多くの場合、無症状で発見されることが多いですが、炎症を起こすと「憩室炎」となり、腹痛や発熱などの症状が現れます。

大腸憩室の症状

無症状の場合

多くの人は、大腸憩室があっても特に症状を感じません。健康診断や大腸カメラ検査を受けた際に偶然発見されることがよくあります。

憩室炎を発症した場合

憩室に炎症が起こると、以下のような症状が現れます。

下腹部の痛み

特に右下腹部や左下腹部に痛みを感じることが多いです。

発熱

炎症が進行すると38℃以上の発熱が起こることもあります。

便秘または下痢

腸の動きが乱れ、便通異常を引き起こすこともあります。

血便

憩室が破れることで、鮮血や暗赤色の血便が見られることがあります。

症状が軽い場合は自然に改善することもありますが、重症化すると入院治療や手術が必要になることがあります。

大腸憩室の原因

大腸憩室が発生する主な原因は以下の通りです。

加齢

大腸の壁は加齢とともに弾力を失い、圧力がかかると憩室ができやすくなります。

食物繊維の不足

食物繊維が不足すると便が硬くなり、排便時に強くいきむことが増えます。これが腸内圧を上昇させ、憩室の形成を促進します。

便秘

便秘になると腸内の圧力が上がりやすく、憩室ができるリスクが高まります。

便秘

遺伝的要因

家族内で憩室が多い場合、遺伝的な影響も考えられます。

肥満・運動不足

運動不足や肥満も腸の動きを低下させ、便秘を引き起こしやすくなり、憩室のリスクを高めます。

過度なアルコールや喫煙

過剰なアルコールや喫煙が腸の炎症を引き起こし、憩室炎のリスクを増大させる可能性があります。

大腸憩室の検査

大腸憩室は以下のような方法で診断されます。

症状が出ている場合は、これらの検査を組み合わせて正確な診断を行います。

大腸カメラ検査

カメラを挿入して大腸内を直接観察し、憩室の有無を確認します。出血の原因を特定するためにも有効な検査です。

大腸カメラ検査

  

CT検査

憩室炎が疑われる場合、腹部CTで炎症の程度や膿瘍の有無を調べることができます。

注腸X線検査(バリウム検査)

バリウムを使って大腸の形状を確認し、憩室の数や位置を特定します。最近ではCTや内視鏡のほうが主流になっています。

大腸憩室の治療

大腸憩室の治療は、症状の有無や炎症の程度によって異なります。

憩室炎は再発しやすいため、生活習慣の改善が重要です。

無症状の場合

特に治療は必要ありませんが、食生活の改善が推奨されます。

軽度の憩室炎

抗生物質の投与

細菌感染がある場合、抗生物質を服用します。

食事療法

消化に優しい食事を心がけましょう。

水分補給

腸の動きをスムーズにするために十分な水分を摂取しましょう。

重症の憩室炎
(入院が必要な場合)

点滴で水分と栄養を補給

重症の憩室炎では、点滴で水分と栄養を補い、体力を回復させることが必要です。脱水や栄養不良を防ぎます。

絶食を指示されることも

腸の負担を軽減するため、一定期間絶食を指示されることがあります。これにより炎症の改善を促します。

穿孔や膿瘍形成があれば、
手術が検討されることも

憩室が穿孔したり膿瘍が形成されると、手術で患部を治療する必要があり、緊急の対応が求められます。

大腸憩室のよくある質問

大腸憩室は予防できる?

はい、食生活の改善や適度な運動で予防が可能です。特に食物繊維を多く含む食品を摂ることが大切です。

大腸憩室と大腸がんの関係は?

直接的な関係はありませんが、両者とも大腸の検査で発見されることが多いため、定期的な検査が推奨されます。

憩室炎を放置するとどうなる?

炎症が悪化すると、大腸の穿孔(穴が開く)や膿瘍ができることがあり、手術が必要になる場合もあります。

どのような食事が憩室に良い?

以下を参考にしましょう。

積極的に摂るべき食品

野菜、果物、全粒穀物、発酵食品

避けるべき食品

脂っこい食べ物、加工食品、アルコール